谷川俊太郎 空の青さをみつめていると



空の青さを見つめていると 
私に帰るところがあるような気がする 
だが雲を通ってきた明るさは 
もはや空へは帰ってゆかない 

陽は絶えず豪華に捨てている 
夜になっても私達は拾うのに忙しい 
人はすべていやしい生れなので 
樹のように豊かに休むことがない 

窓があふれたものを切りとっている 
私は宇宙以外の部屋を欲しない 
そのため私は人と不和になる 

在ることは空間や時間を傷つけることだ 
そして痛みがむしろ私を責める 
私が去ると私の健康が戻ってくるだろう 



谷川俊太郎 「六十二のソネット 41」 


・・・これは上手いな。「二十億光年の孤独」と並んで好きな詩。 



(写真はアメリカ西海岸 San Diego の乾いた空 凄い青だった・・・。2009年3月) 



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